鋼材の生成における熱処理の一つに、鋼の焼入後に0℃以下まで冷却する熱処理をサブゼロ処理と言い、-100℃以下の温度で行うことを超サブゼロ(極低温処理・クライオ処理)と呼んでいます。
鋼は赤熱状態ではオーステナイトと呼ばれる軟らかい状態ですが、急冷するとマルテンサイトと呼ぶとても硬い状態に変態します。しかし鋼中には、オーステナイトの一部が残留してしまうことがあります。
この残留オーステナイトは、時間が経過してからの変態や、内部の残留応力などによって変形・変寸を起す置狂いや、その状況がさらに進んだ置割れと呼ばれる亀裂を生じる現象の原因となります。さらに、硬さの低下にも影響するため、マルテンサイト化させるためのサブゼロ処理が必要となるわけです。
現在、材料を冷やす寒材には、ドライアイス、炭酸ガス、液体窒素などが用いられ、ドライアイスで約-80℃、液化窒素では約-196℃まで冷やすことができます。
一般的に、約-80℃程度まで冷やす処理を「普通サブゼロ」、-100℃以下までにすることを「超サブゼロ(極低温処理・クライオ処理)」と表現しています。
当研究所では、熱処理のプロフェッショナルである「八田工業」との共同開発によって、従来からのクライオ処理で行われていた液体窒素の中に直接入れる"液浸法"とは異なり、高度な温度管理を実現できるガス法による極低温処理・クライオ処理技術を開発しました。
これによって、ヒューズやコンデンサー、ケーブル、基板といった金属と樹脂などで構成されるパーツでも、安定したクライオ処理ができるようになり、残留成分(不純物)を正確に純物化することができるようになったわけです。
ちなみにサブゼロ処理による不純物を純物化する技術は、金属の硬度が均一化するため精密部品、包丁や刃物、金型に使用されてきました。近年では、オーディオ製品や金属パーツ、金属バット、ゴルフクラブ、金管楽器、エレキギター、ベースなどの楽器用部品の品質向上技術として応用されています。
※サブゼロ…0℃以下のこと
※サブゼロ処理とは…深冷処理(鉄鋼用語:熱処理)とも呼ばれ、材料を0℃以下に冷やすこと
※焼入れ…鉄鋼製品を静止空気中より迅速に冷却する操作(鉄鋼用語:熱処理)
液体窒素貯槽
処理炉内
溶鉱炉
刀鍛冶
サブゼロ処理制御装置
当研究所と熱処理専門会社である八田工業は、独自の超サブゼロ処理である『ハイパー・サブゼロ・トリートメント(Hyper Sub-zero Treatment)』を開発しました。この技術は、非常にデリケートなオーディオパーツの音質向上を目的に、従来から当研究所が採用してきた超サブゼロ処理技術「エクセレントクライオ処理」を進化させたものです。
ヒューズ、コンデンサー、ケーブル、基板といったオーディオパーツは、音響機器の要となる部分なので、電気の流れをいかにスムースにするかで、音質は大きく異なってきます。
そこで超サブゼロ処理を施すことで、不純物を純物化させ、金属の硬度が均一化することにより、電気の流れがスムースになります。
ところが、音響機器に使われる前述のパーツは金属と樹脂などで構成される一体成形物です。つまり、素材によっては、超サブゼロ処理を施したときの温度変化が原因で樹脂類だけでなく金属そのものが脆くなってしまうこともあります。
当研究所では、一般的な液体窒素の中に直接入れる"液浸法"では不可能と言われる高精度な温度管理を実現する、希少なガス法を採用する「エクセレントクライオ処理」によってデリケートなパーツでも超サブゼロ処理を成功させてきました。
当研究所と八田工業は長年にわたって冷却工程(部材の熱を取り除く)、沈静工程(原子の移動を行わせる)、除冷工程(極低温状態から常温に戻す)を検証。温度帯域の研究を繰り返し、従来の超サブゼロ処理技術「エクセレントクライオ処理」は、コンピュータ制御を駆使した高精度な温度管理技術「Hyper Sub-zero Treatment」へと進化しました。
新たな技術を確立できたことで、鋼材や非鉄金属(銅やアルミニウム)などの金属はもちろん、前述のオーディオパーツのみならずCDやレコード盤といった樹脂などの有機材料にも超サブゼロ処理を施工することが可能となりました。
その結果、処理を施したオーディオパーツは、群を抜いた透明度、解像度、臨場感とともに、良質なサウンドを獲得することに成功。さらに、高音域の諸特性の改善だけでなく、中音域のナチュラル感とクリアな立体感のある低音域の音楽再生も実現することができるようになったのです。
ハイパー・サブゼロ・トリートメント(Hyper Sub-zero Treatment)はサブゼロ処理研究所(CTL)が開発した独自技術を使った新しいクライオ処理。
コンピューターによる厳密な温度管理のもとで行うHST処理はクラスターがきちっと揃い、信号の流れが一気に向上します!
クライオ(CRYO)とは、ギリシャ語で「深冷」を表す学術用語です。つまりクライオ処理(=超サブゼロ処理)とは、部材を−100℃以下に冷却することを示します。
このような処理を施すのは、前述したように鋼材で言えば、金属内の残留オーステナイトという変態しやすい不純物をマルテンサイト化して、部材を安定化させるためです。
ところが、−100℃以下に冷却すれば「クライオ処理をした」と表現することはできますが、正確なマルテンサイト化ができているとは限りません。さらに、オーディオパーツのような金属と樹脂の複合材は、冷却する際、部位ごとに耐性が異なります。
つまり、冷却におけるプロセスは非常に重要で、昨日まで行っていた処理方法が明日にはさらに精度の高い技術が生まれてきます。
サブゼロ処理研究所では、常に最上のクライオ処理を施し、最高の品質を実現するために、日々研究と検証を繰り返し、処理技術を進化させ続けております。